主日礼拝(第三アドベント)2016/12/11

2016年12月11日(日)午前10時30分~

説教;「奇跡への船旅」
中村静郎牧師
 


聖書:  使徒言行録27章1〜44節

讃美歌21

83(聖なるかな)
3(扉を開きて)
242(主を待ち望むアドヴェント)
456(わが魂を愛するイェスよ)
29(天のみ民も)

新約聖書(新共同訳)より
聖書: 使徒言行録27章1〜44節

わたしたちがイタリアへ向かって船出することに決まったとき、パウロと他の数名の囚人は、皇帝直属部隊の百人隊長ユリウスという者に引き渡された。

わたしたちは、アジア州沿岸の各地に寄港することになっている、アドラミティオン港の船に乗って出港した。

テサロニケ出身のマケドニア人アリスタルコも一緒であった。

翌日シドンに着いたが、ユリウスはパウロを親切に扱い、友人たちのところへ行ってもてなしを受けることを許してくれた。

そこから船出したが、向かい風のためキプロス島の陰を航行し、キリキア州とパンフィリア州の沖を過ぎて、リキア州のミラに着いた。

ここで百人隊長は、イタリアに行くアレクサンドリアの船を見つけて、わたしたちをそれに乗り込ませた。

幾日もの間、船足ははかどらず、ようやくクニドス港に近づいた。

ところが、風に行く手を阻まれたので、サルモネ岬を回ってクレタ島の陰を航行し、ようやく島の岸に沿って進み、ラサヤの町に近い「良い港」と呼ばれる所に着いた。

かなりの時がたって、既に断食日も過ぎていたので、航海はもう危険であった。

それで、パウロは人々に忠告した。

「皆さん、わたしの見るところでは、この航海は積み荷や船体ばかりでなく、わたしたち自身にも危険と多大の損失をもたらすことになります。」

しかし、百人隊長は、パウロの言ったことよりも、船長や船主の方を信用した。

この港は冬を越すのに適していなかった。

それで、大多数の者の意見により、ここから船出し、できるならばクレタ島で南西と北西に面しているフェニクス港に行き、そこで冬を過ごすことになった。

ときに、南風が静かに吹いて来たので、人々は望みどおりに事が運ぶと考えて錨を上げ、クレタ島の岸に沿って進んだ。

しかし、間もなく「エウラキロン」と呼ばれる暴風が、島の方から吹き降ろして来た。

船はそれに巻き込まれ、風に逆らって進むことができなかったので、わたしたちは流されるにまかせた。

やがて、カウダという小島の陰に来たので、やっとのことで小舟をしっかりと引き寄せることができた。

小舟を船に引き上げてから、船体には綱を巻きつけ、シルティスの浅瀬に乗り上げるのを恐れて海錨を降ろし、流されるにまかせた。

しかし、ひどい暴風になやまされたので、翌日には人々は積み荷を海に捨て始め、三日目には自分たちの手で船具を投げ捨ててしまった。

幾日もの間、太陽も星も見えず、暴風が激しく吹きすさぶので、ついに助かる望みは全く消えうせようとしていた。

人々は長い間、食事をとっていなかった。

そのとき、パウロは彼らの中に立って言った。

「皆さん、わたしの言ったとおりに、クレタ島から船出していなければ、こんな危険や損失を避けられたにちがいありません。

しかし今、あなたがたに勧めます。

元気を出しなさい。

船は失うが、皆さんのうちだれ一人として命を失う者はないのです。

わたしが仕え、礼拝している神からの天使が昨夜わたしのそばに立って、こう言われました。

『パウロ、恐れるな。あなたは皇帝の前に出頭しなければならない。

神は、一緒に航海しているすべての者を、あなたに任せてくださったのだ。』

ですから、皆さん、元気を出しなさい。

わたしは神を信じています。

わたしに告げられたことは、そのとおりになります。

わたしたちは、必ずどこかの島に打ち上げられるはずです。」

十四日目目の夜になったとき、わたしたちはアドリア海を漂流していた。

真夜中ごろ船員たちは、どこかの陸地に近づいているように感じた。

そこで、水の深さを測ってみると、二十オルギィアあることが分かった。

もう少し進んでまた測ってみると、十五オルギィアであった。

船が暗礁に乗り上げることを恐れて、船員たちは船尾から錨を四つ投げ込み、夜の明けるのを待ちわびた。

ところが、船員たちは船から逃げ出そうとし、船首から錨を降ろす振りをして小舟を海に降ろしたので、パウロは百人隊長と兵士たちに、「あの人たちが船にとどまっていなければ、あなたがたは助からない」と言った。

そこで、兵士たちは綱を断ち切って、小舟を流れるにまかせた。

夜が明けかけたころ、パウロは一同に食事をするように勧めた。

「今日で十四日もの間、皆さんは不安のうちに全く何も食べずに、過ごしてきました。

だから、どうぞ何か食べてください。

生き延びるために必要だからです。

あなたがたの頭から髪の毛一本もなくなることはありません。」

こう言ってパウロは、一同の前でパンを取って神に感謝の祈りをささげてから、それを裂いて食べ始めた。

そこで、一同も元気づいて食事をした。

船にいたわたしたちは、全部で二百七十六人であった。

十分に食べてから、穀物を海に投げ捨てて船を軽くした。

朝になって、どこの陸地であるか分からなかったが、砂浜のある入り江を見つけたので、できることなら、そこへ船を乗り捨て、同時に舵の綱を解き、風に船首の帆を上げて、砂浜に向かって進んだ。

ところが、深みに挟まれた浅瀬にぶつかって船を乗り上げてしまい、船首がめり込んで動かなくなり、船尾は激しい波で壊れだした。

兵士たちは、囚人たちが泳いで逃げないように、殺そうと計ったが、百人隊長はパウロを助けたいと思ったので、この計画を思いとどまらせた。

そして、泳げる者がまず飛び込んで陸に上がり、残りの者は板切れや船の乗組員につかまって泳いで行くように命令した。

このようにして、全員が無事に上陸した。